管理会計システム導入にみる会計ルーティンの移転と制度化に関する研究
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2016年04月 -2021年03月
代表者 : 庵谷 治男
本研究の目的は、管理会計システム(Management Accounting Sysutems:以下、MAS)が導入される際に、導入組織において会計ルーティンがどのように移転し制度化されるのかを明らかにすることである。3年目となる本年度は、引き続きMASとしてのアメーバ経営の管理会計システムが導入されるプロセスに着目し研究を実施した。また、知識移転ならびに制度論に関する著書ならびに論文を渉猟した。くわえて、管理会計知識が送り手組織から受け手組織へどのように移転するのかについて、分析視座を検討した。とくに、管理会計情報と管理会計知識の違いについて、他分野の研究者(組織論やマーケティング)と積極的に議論を交わし、管理会計知識の位置づけについて整理を進めた。
本年度の研究成果として、2本の論文執筆(うち1本が掲載)ならびに1件の学会発表がある。2本の論文ともに査読付き論文である。ひとつは単著「『時間当り採算』にみるバリエーションとその作用因―アメーバ経営導入研究のレビューに基づく探究」『原価計算研究』(第42巻第1号,2018年9月)である。もうひとつはすでに査読が終了し受理が確定している単著「管理会計の利用が直接・間接部門間の水平的インタラクションに与える影響-A社の事例に基づく探索的研究」『メルコ管理会計研究』(第11巻第2号,2019年近刊)である。学会発表は単独発表として「アメーバ経営の部門別採算制度と利益配分」(日本管理会計学会九州部会第55回大会,2018年10月20日,長崎県立大学佐世保校)である。
最後に、本研究の特筆すべき成果として昨年度に刊行した単著『事例研究 アメーバ経営と管理会計』が日本原価計算研究学会で学会賞(著作賞)を受賞した。